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先制パンチで差をつける?
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自分のいる業界では当たり前の話でも、
一般の人が知らない事って結構あります。

もしまだそれを誰も宣伝していないのなら
一番に宣言した者勝ちですよ!

今日はそんな先制のマーケティングについて。

舞台は1920年代初頭のアメリカ。
シュリッツというビール会社のお話です。

その頃のビール市場は10社ほどの会社が競い合い、
シュリッツビールは業界8位という下位に甘んじていました。

この頃のビール会社はどこも、
「私達のビールは純度が高いものです。」
といった広告メッセージばかり。

この純度の事についても、それがどういう意味なのかを
消費者に説明する会社は1社もありませんでした。

そんな頃、シュリッツビールの売上改善のために迎えられたコンサルタントが
まず最初にした事は・・・

「どうやってビールを作っているのか?」
という話を詳しく聞いた事です。

そして最高のビールを作る為の様々なこだわりの手法の話に
そのコンサルタントは大変感銘を受けました。

そこでコンサルタントは、
「これらの驚くべき工程を事細かく消費者に知らせるべきである」
という事を提言しました。

でもそれを聞いた経営陣の反応は
「なぜ、そんなことをする必要があるんですか?
どこのビール会社もうちと同じことをやっているのに」と不思議がりました。

コンサルタントが感銘を受けたその驚くべき製造工程は、
他社とさほど変わらないものだったからです。

どこの会社でも、似たような事はしていたのです。

でも、当時ビール業界でその事を消費者に知らせた者は
まだ誰もいませんでした。

何かをやって、最初にその話をしたり、理由や成り行きを説明する者が
その時から他の者に市場で差をつけ、圧倒的優位に立つ事ができるという事を
そのコンサルタントはちゃんと知っていたのです。

そして、シュリッツは自社のビールがどうやってできているのかを
業界で初めて宣伝しました。

以下がその宣伝です。

「シュリッツのビール工場はミシガン湖のすぐそばにあり、
その水は大変きれいです。

工場はその湖岸にあったのですが、
シュリッツは深さ1500メートルのアルトワ式井戸を二つも掘っていました。

なぜならば最高のビールを作るのに最適なミネラルを含有した水は、
その深さまで掘らなければ見つからなかったからです。」

「一番豊かな味と口当たりを生みだす醸造酵母菌の元菌を見つけ、
それを開発するのに、5年以上かけて1623回の実験もしました。」

「水を2760℃まで熱し、再び冷却して液化し、
しかも、その完全な不純物を取り除くために、それを3度も繰り返すんです。」

「ビン詰めして送り出す前に、純粋で豊かな味を確認するため、
一度の醸造ごとに必ずテイスティングをしています。」

どうでしょう?
この製造工程の説明がシュリッツのUSPとなり、
業界トップの売上を上げるまでになったのです。

他社とほとんど同じ製造工程でも、
消費者にはシュリッツのビールが
他とは違う特別な価値のあるものに見えたからです。

たとえ業界の常識でも、お客様にとって知らないことであれば、
それはウリになるのです。

しかもいちばん最初にそれを説明したものが勝つという例です。
これ、どこの業界でも、使えそうな話ですよね。

業界の中にいると、気がつかずに見落としてしまっている事って
たくさんあるのではないですか?